京都大学大学院 農学研究科 生物資源経済学専攻 森林経済政策学分野

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森林経済政策学とは

当研究室では,森林や林業を中心に様々な自然環境の問題を幅広く研究対象としています。

森林の役割

 森林には様々な役割があります。森林から供給される木材は,住宅や家具の材料として使われています。また森林には水源を守ったり,土砂災害を防止する役割があります。森林は,多数の動植物が生息する場所を提供し,生物多様性を維持する役割があります。そして,地球温暖化の原因となる二酸化炭素を森林が吸収するため,温暖化対策としても森林が注目を集めています。

森林の消失と劣化

 ところが,世界的規模で森林の減少と劣化が深刻化しています。たとえば,熱帯地域では,過剰な農地転用や違法な伐採などにより急速に熱帯林面積が減少しています。一方,国内では森林面積は維持されているものの,木材価格が下落し林業経営が長期的に低迷していることから森林管理が十分に行われず,森林の質的な劣化が進んでいます。

森林を守るには

 では,どうすれば森林の消失や荒廃を食い止めることができるのでしょうか。このためには,まず森林破壊が深刻化する原因を明らかにする必要があります。森林破壊の背景には,経済のしくみが存在します。開発によって森林を破壊すると経済的に利益が得られますが,森林を守っても直接的な利益にはつながりません。このような森林破壊の背景にある経済や社会のメカニズムを明らかにしなければ,森林を守ることは困難です。

森林経済政策学の課題

 森林経済政策学は,経済学やその他の社会科学のアプローチをもとに,森林・林業に関わる様々な問題を分析します。その上で,森林をめぐる開発と保全の対立を解決し,森林を持続可能な状態に管理するための森林政策のあり方を示すことが,森林経済政策学の主要な課題として求められているのです。